金利上昇に備える

2022年の年末に、日本銀行が大規模緩和施策の修正を行ったことから、にわかに金利上昇に備える議論が活発になっています。住宅ローンについては、早速2023年1月分から金利が上がるようですが、住宅ローンを借りている方の大部分が選択する変動金利については据え置きとなっています。

住宅ローンを変動金利で借りている方は、「今のうちに変動金利から固定金利に借り換えた方がよいのか」とお考えの方もいるかもしれません。
ローンの借り換えにあたって、考慮すべき主なポイントは、①借り換えには手数料がかかること、②(残りの返済期間が同じなら)毎月の返済額が増えること(固定の方が金利が高いので、その分毎月多く支払う必要がある)、の2点であり、この2点の影響を把握しておく必要があります。

①については、ローン残高や利用する銀行によっても変わってきますが、銀行の手数料、抵当権設定関連の費用、司法書士報酬など、数十万円くらいはイメージしておいた方がよいと考えられます。メガバンクの中には、ホームページで借り換え手数料の概算シミュレーションできる銀行もあります。

②については、残債2000万円を20年で元利均等(ボーナス返済なし)で返済する場合、金利0.5%だと毎月約87,500円の返済であるのに対し、(固定金利に借り換えて)金利が1.5%に上がったとすると毎月約96,500円の返済に、約9,000円アップすることとなります。

将来の金利上昇が心配なので、今のうちに返済金額を固定したいとお考えの方は、上記①②の金額を把握した上で、思い切って借り換えをするのもあると思います。

一方で、もう少し安い変動金利のメリットを享受したまま金利上昇に備えたいという方には、「借り換えをしたつもりで貯めておく」という方法もあります。

具体的には、①の数十万円と②のアップ分約10万円(年額)を「借り換えをしたつもり」で貯めておき、返済金利が実際に上昇した際に、貯めておいたお金で繰上返済するというものです。繰上返済において、毎月の返済額の軽減を選択することで、毎月の家計への影響を抑制することができます(※)。
※残債2000万円・残り20年返済の場合
〇金利0.5%      返済額 約87,500円/月(①)
〇金利1.5%(に上昇)  返済額 約96,500円/月(②)(②-①=約9,000円アップ)
〇金利1.5%で100万円繰上返済(返済額軽減) 返済額 約91,700円/月(③)(③-①=約4,200円アップ)
〇200万円繰上返済の場合 返済額 約86,900円/月(④)(④-①=ほぼ横ばい)

なお、繰上返済においては、毎月の返済額軽減のほかに、返済額固定で返済期間の短縮も選択でき、この方がローン完済までの総利払い額は削減できます。また、繰上返済時には手数料がかかることがありますので、借り入れている金融機関で確認することが必要です。

大事な選択となりますので、実際の借り換えや繰上返済にあたっては、金融機関やFPなどの専門家にご相談いただき、精緻な返済計画の確認をお願いします。

※上記はあくまで参考情報の提供を目的としており、実際の判断にあたってはご自身の状況に照らして自己責任でお願いします。

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